
1983年11月、ヨークシャーTV局が、セラフィールド原子力施設周辺の
西カンブリア地方で小児白血病が多発しているとの報道以来、社会的に大きな問
題になっています。この間、公的な調査委員会や大学の研究チームがこの問題を
調査してきました。1990年2月には、調査委員会の一員であったガードナー
博士が、父親の被曝と子供の白血病の関連を示唆する論文を発表して、再度社会
問題化しています。
この間の調査研究により、(1)シースケール町の小児白血病発症頻度は、平
均の約10倍高いこと、またセラフィールドより5Km圏内(シースケール町を
含む)に高く、離れるにしたがい発症頻度は下がること、(2)シースケールに
住む母親から生まれた子供に発症頻度が高いが、他所で生まれた子供に発症頻度
の増加は認められないこと、(3)しかし、セラフィールド原子力施設からの廃
棄物による住民の被曝線量は、被曝限度範囲内にあり、このため被曝が一義的に
小児白血病の発症頻度増加の原因とは結論できないこと(薬剤やウィルスなどの
関与も疑われている)、(4)イギリスには、セラフィールド周辺以外にも小児
白血病の多発地帯があり、それらは原子力施設と無関係であるなどが明らかにさ
れてきました。すなわち、セラフィールド周辺で小児白血病が多発していること
は事実ですが、その原因は不明のままでした。
1990年のガードナー博士の論文は、セラフィールド原子力施設に勤める父
親の子供に発症した小児白血病症例4例に注目してみると、受精前6カ月間の被
曝線量が高い父親の子供に白血病の相対リスクが高い傾向がでました。未だ症例
数が少ないため、この結論が真実か否か更に検討を加える必要があります。現在
イギリスでは、他の原子力施設周辺でも調査が行われております。ちなみに、広
島、長崎の被曝者の子供に白血病の増加はありません。

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