チタン鉱石問題

産業廃棄物処分場から放射線が出ていたとの事だが、健康に影響はないか?

 平成2年7月21日に岡山県の産業廃棄物処分場から通常より高いレベルの
放射線が検出されました。
 問題の廃棄物は、酸化チタンを製造するために使用していたチタン鉱石の残
渣であり、マレーシア産のチタン鉱石に含まれていたモナズ石からの放射線と
特定できました。
 モナズ石には自然のウラン及びトリウムが含まれています。
 この鉱石等を分折した結果、ウラン・トリウムの放射能濃度は最大で、
9Bq/gであり、これは「核原料物質・核燃料物質及び原子炉の規制に関す
る法律」による核原料物質の届出を要する濃度限度(370Bq/g)以下で
した。
 処分場の敷地境界での放射線レベルはほぼ自然放射線レベル程度であるの
で直ちに安全上問題とはならないでしょう。

チタン鉱石の放射能とは?

 チタン鉱石による環境放射線の増加の主原因は、ガンマ線やアルファ線の測
定および化学分析の結果、鉱石に混在したモナズ石に元来含まれているトリウ
ムおよびウランの放射線であると考えられています。
 トリウムとウランは物理的半減期が非常に長く(Th−232:141億年、
U−238:44億6千万年)、そのため地球創生いらい現在にいたるまで地
殻に残っている自然界の代表的な放射性元素です。
 トリウムの同位体Th−232は徐々に壊れて一連の娘核種ができます。こ
れらは、親よりずっと短い半減期(最長の場合Th−228:1.91年)を
持ち、それぞれ壊れる時に出る放射線が、地面から人の受ける自然放射線の一
部になっています。最後は、放射線を出さない鉛の原子(Pb−208)にな
ります。ウランの同位体U−238も、同様に次々に壊れて最後には放射能の
無い鉛原子(Pb−206)となります。その間に出す放射線も大地の自然放
射線の一部を成しています。娘核種のなかで寿命が最も長いものはU−234
で24万5千年の半減期で壊れていきます。また、娘のなかにはラドンの親で
あるラジウム(Ra−226、半減期1600年)があります。

実際の分析.測定の結果は?

 この問題に関して行われた日本分析センターのアルファ線スペクトロメトリ
ーなどによる核種分析の結果によれば、テイカ岡山工場およびその廃棄物処分
場の鉱石、マッド、赤色廃泥のトリウムおよびウランの放射能の合計値は、
10Bq/g以下であり、娘核種をあわせた総放射能は、最大のマッドの場合
70Bq/g程度であると報告されています。最も重要と思われる水試料では、
Th−228などが極微量検出されているが有意なものではないと報告されて
います。
 工場周辺の大気に含まれるウランとトリウムを測定した結果は、科学技術庁
の告示に定められた周辺監視区域外の空気中の濃度限度に比べてかなり低い値
と報告されています。
 また、体外から受ける放射線に関しては、工場および処分場の敷地境界での
(空間)放射線のレベルは地方公共団体による測定結果は、ほぼ(自然)バッ
クグラウンド(放射線の)レベル程度であるとされています。

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