
平成3年8月
科学技術庁
- I. 報道振り(要点)
- ア.動燃・鳥取県方面地区のウラン採掘残土の堆積場から、ラドンが土壌のな
い地域の900倍もの高濃度で出ていると、同県の市民グループが発表。
すなわち、1平方メートル当たり、方面貯鉱場で9万5千から
12000ベクレル、方面1号堆積場で42000ベクレルから
35000ベクレル。ウラン残土のない地区の畑の130ベクレルから
60べクレルに比べ900倍から200倍だった。
(東奥日報等 平成3年8月2日)
- イ.動燃・鳥取県方面地区の民有地の大気中から、ラドンが日本の屋外の平均
値の7千倍もの高濃度で検出されたと、京大小出助手と同県の市民グルー
プが発表。
すなわち、方面下1号坑口で、日本の屋外の平均値とされる5べクレル
の7000倍から1500倍の35000ベクレルから7500べクレル
という高さだった。
・藤高和信・放医研室長コメント
「測定方法が不明であり、結果についてはなんともいえないが、
方法が全て正しかったとしても、民家の室内などは誤差の範囲内。
欧米などでは今回の最高値の50倍といったデータもあり、この
程度なら影響ないのではないか。」
(東奥日報 平成3年8月17日)
- II.事実関係
- 1.動燃事業団は、岡山県人形峠事業所において、現在、ウラン転換技術開発、
濃縮技術開発等を行っており、かつては、国内ウラン探鉱技術開発の中心
地のーつとして、実際にウランの探鉱を行ってきた。
ウラン残土(「捨石」という。)は、掘削時にウラン鉱帯に至るまでに
出てくる岩石等であり、鉱山保安法に基づいた管理が義務づけられている。
人形峠事業所の周辺には、いくつかの捨石堆積場があるが、その一つで
ある方面堆積場においても、鉱山保安法(金属鉱山等保安規則)及び通産
省の指導に基づいて、棚等の設置、放射性物質の濃度管理等の安全対策措
置を講じ、堆積場を管理してきている。
- 2.今回の方面堆積場におけるラドンの報道については、いずれとも、測定方
法について詳細が不明であるため、現時点で結果を評価することは困難で
ある。また、他の測定値との比較についても、測定方法が正しいかどうか
不明確であり、判定することができない。
- 3.なお、仮に測定方法が正しいとした場合、例えば人体に対する影響は、
ア.における測定法は、24時間に地面から湧出するラドンの量を測定し
たもので、このデータでは1m3当たりのラドン濃度が不明であることか
ら、人体への影響を評価することはできない。
イ.については、住民の値は、放医研における測定結果から判断すると誤
差の範囲内であり、人体に対する影響があるとはいえないと考えられる。
- (注)ラドンとは・・・
- 1. ラドンは、自然界に存在するウラン、トリウムが壊変して発生する、
無色、無臭の不活性ガス。空気中に存在。
- 2. ラドンは、さらに壊変し、最後は鉛の安定同位体となる。このうち、短
寿命の放射性核種を総称してラドン娘核種という。
- 3. ラドンは、同じ場所であっても、日によって、時刻によって湧出量が変
化し、通常、個々の測定には大きな変動がある。
また、空気中のラドン濃度も、湧出量のみならず風向・風速・気温・湿
度などの気象条件により大きく変化。
- 4. ラドンの測定方法は様々なものがあるが、データのばらつき及び信頼度
がそれぞれ異なるような状況にあり、基準となる方法が定められていない
のが現状。
- 5. なお、ラドンの人体影響に関する調査報告例は少ないが、高濃度のラド
ンを含んだ空気を吸入した場合、肺がんを引き起こす可能性があるといわ
れている。

目次・検索へ戻る
ホームへ戻る