ここでは
30年程前に発表した資料(PDF 19M)を抜粋して
「放射線被ばくと死亡危険度」
の関係を
示した。
この30年間の間に、広島、長崎の被ばく者によるデータに遅発性のがんによる死亡の
増加が認められ、
現在では、このデータは古くなてしまっているが、およその関係を
見ることはできる。
![](dose_death2.jpg) |
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現在では「リスク係数」は使われなくなり、代わりに
名目確率係数が1990年のICRP勧告に導入された。
この値は全集団に対して 全損害の合計 0.073/Sv とされている。
(損害の主たるものは「致死がん」である。)
- 30年前の値より7倍程高い値となっている。
- 「DL」の概念は廃止されている。
- 2008年の統計によれば、10万人あたり,
全死亡数は907人、そのうち
悪性腫瘍による死亡数は 272人
となっており、30年前の2倍以上のがん死亡率となっている。
- 致死がんの名目確率係数は全集団に対して 0.05/Sv としているので
- 1万人が毎年10mSVの被爆をした場合を仮定すると、
- 十数年後に
0.05*0.01*10000=5人/年 のがんによる死亡増加が推定される。
- 1万人の内 9995人は放射線の致死影響は受けないが
1万人のうち、96 人がなんらかの原因で死亡し、
そのうち 32人ががんによる死亡で5人が放射線被爆による増加と推定されることになる。
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![](dose_death3.jpg) |
- 日本人全体に対する「放射線影響」も現在の知見では数倍(7)程度高くなる。
- 核実験による集団線量は既に大幅に低くなっている。
- 代わりに今回の事故による線量が頭をあげることになろう。
- 放射線の医学利用による線量はこの30年間で数倍程度になっていると思われる。
- 悪性腫瘍による死亡は2008年のデータで136383人となっている。
- 放射線の医学利用によって救われている人も数千人以上になっていると思われる。
- 放射線の医学利用による死亡致は1000名程度になっているかもしれないが。
救われている人数を上回ることはないと思われる。
- 航空機による乗務員や旅行者の被爆も数倍になっていると思われる。
- 年1mSvを越える人は職業人として個人線量で被爆管理をすることになっているが
- 航空機による乗務員については計算上の管理で5mSv以下に制限すればよいことになっている。
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後書き
- 筆者は20年ほど前にこの分野の研究を退いたので、ここの記述は、最近のデータに
そぐわないものがあるかもしれない。
- 放射線の医学利用は今後さらに増えるであろう。
- 医療被爆には制限値がない。
- 現在は、圧倒的な「がん死亡数」ゆえ、その判断が医師にまかされているが、
- 近い将来、国民の受ける集団線量が自然放射線に近くなることも考えられる。
- 将来は、何らかの管理が必要になるのではないだろうか。
- ストレスが発がん発生率を上昇させることは既に多くの人が知るところである。
- 広島長崎の被ばく者にとって影響調査はストレスになっているのではないか?
- 被ばく者手帳をもっているだけでストレスになると聞いたことがある。
- 現在の広島長崎の被ばく者の放射線影響調査は
ストレスによる影響を省くことができるのだろうか。
- 広島長崎の被ばく者よりはるかに低い被ばくで騒いでいる自分がややなさけく、
- 広島長崎の被ばく者に申し訳なく思える。
- ストレスをためないことも大切と言い聞かせて。。。。。
この議論を閉じることとする。
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